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Ti ricordi il calcio?

2010/06/16, 10:18

img10060002_1 11日から開催中のサッカー・ワールドカップ南アフリカ大会ですが、昨日14日は日本が1-0でカメルーンに勝利、イタリアは1-1でパラグアイと引き分けました。それぞれ初戦ということもあり、日本でもイタリアでも少し緊張感のある盛り上がりだったと思います。フィレンツェではミケランジェロ広場に、W杯公式街頭応援場である現代(ヒュンダイ)ファンパークのひとつが設置され、40平方メートルの巨大スクリーンで昨晩の試合を観戦したサポーターも少なくありません。ロザウラの友人にもラッパ持参で駆けつけた人がいます。

さて、今回ご紹介するのは、サッカーをテーマにした未来小説“Ti ricordi il calcio?(君はサッカーを覚えているか?)”です。《西暦2030年。全世界の公の場からサッカーというスポーツが姿を消してから、既に20年という歳月が流れていましたが、この20周年を記念して、サッカーの過去の栄華を再現するようなルポルタージュを作成するよう命じられたジャーナリストがいました。サッカーに関する興味深いエピソード、才能に溢れたプレーヤーたち、感動的なゲームなど、その魅力をふんだんに盛り込んだ彼の記事は大成功を収め、読者のひとりである15歳の少年ジジの空想をかきたてます。「ボクも『ゴール!』と叫びながらシュートを決めてみたい…」》

 現実の人気選手、ファビオ・カンナヴァーロおよびジャヴィエル・ザネッティへのインタビューを織り交ぜ、複数言語によるサッカー語彙集を付けるなど、
サッカーづくしの1冊ですが、総頁数は76頁とそう多くはありませんので、W杯期間中の熱狂、または終了後の余韻とともに、読んでみてはいかがでしょうか。それにしても、今大会を最後にサッカーが消滅してしまうなんて、大胆な発想ですよね…。

Nat e il segreto di Eleonora

2010/06/11, 09:35

img10060001_1 img10060001_2 さて、ロザウラから皆さんにお勧めしたいタイトルもいろいろあるのですが、今回ご紹介するのは、今年4月にイタリアで公開されたばかりの仏伊合作アニメ映画“Nat e il segreto di Eleonora(ナットとエレオノーラの秘密)”を絵本にしたものです。見開きいっぱいに広がる映画のワンシーンの下、字幕さながらに文章が綴られ、まるで小さなスクリーンの前に座っているような気分を味わえる演出も心憎い、素敵なアニメ絵本です。

 作者のレベッカ・ドートゥルメール(Rebecca Dautremer)は1971年南仏生まれで、イラストレーターとして成功した後、物語の創作も始め、本作は彼女にとって初めてのアニメ映画です。「温かみのある色と明確な線」が彼女の作品制作のモットーとのことで、暖色系統、特に赤の使い方が印象的な作品が多いのも頷けます(本木雅弘夫人・内田也哉子訳による『恋するひと』[朔北社/2005]でも赤モード全開!)。蛇足になりますが、著者近影でも赤い服を着ているので、きっと、この色に強く深く、心惹かれているのでしょう。

 ところで、肝心の物語ですが、《少年ナットは、海辺にあるエレオノーラ伯母さんの家で過ごす夏の休暇が大好きでした。伯母さんがいろいろな童話を読み聞かせてくれるのを、何よりも楽しみにしていたのです。その伯母さんが天国へと旅立ち、両親は屋敷を、姉のアンジェリカはロシアの磁器人形を、ナットは秘密の部屋に保管されていた世界中の童話の初版本を譲り受けることになります。しかし、その晩の大嵐により被害を受けた屋敷の修繕費用を捻出するため、ナットは自分のものとなった貴重な古書を売りに出すことを提案します。伯母さんの形見として1冊だけ手元に残すことになり、秘密の部屋に足を踏み入れますが、たくさんの本を前にして途方に暮れているうち、本の頁から浮き上がってきた文字に襲われて気を失ってしまいます。目を覚ましたナットを取り囲んでいたのは、童話の登場人物たちでした。彼らは、エレオノーラの後継者が、部屋の壁に刻まれたフレーズを声に出して読まなければ、今日のお昼の十二時に跡形も無く消え失せてしまうというのです。まだ字を読むことは覚束ないものの、彼らを救うべく、ナットは一生懸命にそのフレーズを読もうとしますが、文字が動き回るため、上手く読むことができません。そのうち、古書を引き取りに来た古物商の声がして、ナットに裏切られたと怒った魔女は、彼を自分たちと同じ大きさに縮めてしまいます……。》この後、ナットは童話の登場人物たちと力を合わせ、また、アンジェリカや隣人アドリアンの協力も得て問題解決に当たりますが、1体の磁器人形という相続内容に少しがっかりしていたアンジェリカも、その中に隠されていたもう1つのエレオノーラの秘密により幸運を授けられて、あちらもこちらもめでたしめでたしで幕引きとなります。

ちなみに、ナットが大きな声で読まなければならなかったフレーズというのは、“Non e' perche' e' una favola che non esiste(童話であるからといって、存在しないわけではない)”でした。ナットは古今東西の童話の初版本に魂が吹き込まれていることを知り、これを助け守り抜くことで、名実ともにエレオノーラの秘密の後継者として認められたわけですが、私たちが本を読む時、つい物語に引き込まれて、頁から頁へと展開する出来事を実際に体験しているような気持ちになることがよくあります。そのように頭の中で現実味を帯びるだけの要素を備えた物語に私たちは惹かれるのであり、また、私たちの頭の中で具現化されて存在感を増すことで、物語は文字通り“生き生き”としてくるのです。 “Nat e il segreto di Eleonora”は、こうした物語と読み手との緊密な関係についてあらためて気づかせてくれるわけですが、本そのものや読書というテーマに正面から向き合った、いわば劇中劇のような作品として、子どもの活字離れにも歯止めを掛ける1冊になってくれることを期待したいと思います。

追伸:版元Gallucci Editoreの話では、いずれD VDも同社から発売する予定とのこと。DVD化が決定した際には、またお知らせしたいと思います。

By かくいう私も『ピノッキオの冒険』の登場人物ロザウラ

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